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夕食を食べ、今日はもう帰るというスザクを玄関まで送っていたルルーシュは、話を聞くのは今しか無いと意を決して声をかけた。 「スザク、今日はずっとナナリーといたのか?」 その質問で、今までおかしいなと思っていたことの答えがわかった。C.C.は、偽ゼロの正体を知っていながらルルーシュには伝えていないのだ。 「うん、今日はルルーシュが朝からいなくて寂しいからって。それがどうしたの?」 「・・・いや、折角の休みだったのに、すまないな。ありがとう、スザク」 優しく微笑みながら言われた言葉に、思わずスザクは頬を染め、同時に罪悪感と後ろめたさで胸が痛んだ。 「そ、そんな気にしないで。僕は君たちといられる方が楽しいんだ」 にっこり笑顔で返され、ルルーシュは、そうかと笑顔を返した。 手を振り立ち去るスザクの背中を見つめながら、ルルーシュは深く息を吐く。 「・・・スザクじゃ、無かったのか・・・あの偽ゼロは・・・」 あれほどの身体能力、あの言動。 声は変声機があのフルフェイスのヘルメットに仕掛けられていたせいで判別はできなかったが、しゃべる方がスザクそのままだったと思ったのだが、ナナリーと咲世子と共にニュースを見ていたというならばスザクではなかったということだ。 スザクはともかく、俺の天使ナナリーは俺に嘘は吐かない。 ということは、つまり・・・ 「あれほどの身体能力を持った人材が眠っているのか・・・?」 スザクと同等かそれ以上の身体能力。 埋もれさせるには惜しい・・・。 惜しすぎる。 ゼロのコスプレをするぐらいだから、ゼロに共感するものがあるのだろう。ならばぜひ見つけ出し黒の騎士団に入れなければ。そしてスザクを引き込むことができれば、黒の騎士団は最強となれる。 必ず、手に入れてみせるぞ偽ゼロ! 「ですが姫様!奴はゼロに扮するようなふざけた男、そんな人物を探し出し、お側に置くというのですか!?」 驚きを隠せないギルフォードに、コーネリアは頷いた。 「確かにゼロを名乗り、ゼロに扮してはいたが、あれはゼロを支持しているのだろうか?ダールトン、お前はどうみた?」 「・・・は、言われてみれば確かに、あの格好。まるでゼロを馬鹿にしているようにも見えます。ゼロなど顔を隠し、声を変えさえすれば誰でもなれます。そのことも揶揄しているのかもしれません。何より、自分はゼロ以上の才能があり、今回の件は自分一人でも終わらせられることだと、アピールしているようにも見えますな」 ダールトンの回答に、コーネリアは頷いた。 「そもそも、ゼロの味方であるならば、ヘルメットにあのように馬鹿げた書き込みなどしないだろう。あれはどうみても、ゼロを挑発しているのだ」 「ですが、どうしてそのようなことを・・・」 「もしそうだと仮定した場合、可能性があるとすれば、偽ゼロはイレブンだろう。そして黒の騎士団の活動を良しとしていない」 「イレブンであるなら尚更姫さまのお側に置くなどと」 「すでに枢木という異例がいるのだから、もう1匹ぐらいイレブンを飼っても問題はないだろう?何よりあれほどの人材、黒の騎士団の手に渡るなどあってはならないからな」 今でさえ手を焼いている黒の騎士団に、あれほどの身体能力を持つものが加われば、面倒になることは間違いがない。なにせ単身でKMFの包囲網をかいくぐり、逃げおおせる人物なのだ。この政庁に単身特攻してきたら、防ぎきれるかどうか。 「・・・わかりました。姫さまのお側に置くかどうかは後々考えるとして、偽ゼロの行方は急ぎ探させましょう」 たしかにあれほどの人材がテロリストとなれば危険だと、ダールトンは判断した。 「はっくしょん!」 「あれぇ?スザクん風邪かな?困るよ?体調管理はしっかりしてくれないとさぁ」 「え?あい、いえ」 「今日はこのまま休みなさいスザク君。ロイドさん、構いませんよね?」 「いいよ~どうせ今日、スザク君お休みだったんだし、しっかり休んで風邪なおしておいてね~データ狂うかもしれないからさ~」 「ロイドさん!」 「うわっご、ごめんなさい!」 すでに見慣れてしまった、部下による上司の教育を見ていたスザクは、誰か噂でもしているのかなあと考えながら自室へ戻った。 |